爬虫類用品メーカー「両爬工房」の山田です。プロの立場からこの記事を解説します。
「ヘルマンリクガメは、多頭飼いできるの?一緒に飼っていい他の種類は?」「多頭飼育のやり方は?注意するべきことは?」といったお悩みに、わかりやすくお答えします。
結論から言うと、ヘルマンリクガメは比較的多頭飼いに向いています。そして本記事の内容を参考にすれば、ギリシャリクガメなどの他の種類と一緒にも飼育可能です。
しかしだからといって、初心者でも簡単かと言われたら違います。やはりそれなりの知識や多頭飼い向けの大きなケージ、大きな飼育用品などの準備が不可欠です。
この記事の前半では「ヘルマンリクガメの多頭飼いの始め方と注意点」について解説します。そして後半には、読者限定で「多頭飼いにおすすめの便利グッズ」をご紹介します。
これから多頭飼いを始めたいけど失敗したくない方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。そして、本記事を参考にして多頭飼い向けの製品を集めてみてください。
爬虫類の飼育用品メーカー『両爬工房』代表
Kanta
かんた
爬虫類を含めた動物の飼育歴23年。自分でも爬虫類を飼いながら、飼育用品メーカー『両爬工房』代表として、爬虫類シェルターなどを開発・販売している。ものづくりのモットーは「ユニークで良いものを」。好きな食べ物は、ティラミスとスタバのフラペチーノ。好きなアーティストは、優里と菅田将暉。
ヘルマンリクガメは、多頭飼いできるの?
ヘルマンリクガメは、比較的物怖じせず明るい性格で、リクガメの中でも多頭飼いに向いている種類です。日本では人気のペットリクガメとして知られています。
- 最大甲長:15〜30cm
- 適正温度:25〜30度
- 適正湿度:40〜60%
- 市場価格:約2万〜4万円
最大甲長は約30cmと大きくなるものの、温度・湿度とともに飼いやすいラインです。市場価格も比較的安いので、飼育数を増やしやすいのもポイント。
とはいえ、経験不足の初心者にいきなり多頭飼いは難しいのが正直なところ。多頭飼いを始めるなら、本記事をしっかり読み込んで、知識だけでも詰め込んでください。
ヘルマンリクガメと一緒に多頭飼いできる種類
多頭飼いを始めるにあたって「他の種類のリクガメと一緒に飼いたい」と思う方も多いでしょう。
ここでは、ヘルマンリクガメと一緒に多頭飼いできる種類についてご紹介します。下記の種類であれば、サイズ感や適正な温湿度が似ているので、同じ環境で飼育可能です。
- ギリシャリクガメ
- ロシアリクガメ
ギリシャリクガメ
ギリシャリクガメは、ヘルマンリクガメと同じく、日本では人気のペットリクガメとして知られる種類です。
- 最大甲長:20〜30cm
- 適正温度:25〜30度
- 適正湿度:40〜60%
- 市場価格:約1.5万〜3万円
最大甲長は約30cmと大きくなるものの、温度・湿度とともに飼いやすいラインです。亜種が多いので値段はピンキリですが、市場平均価格としてはかなり安価なのでおすすめです。
ロシアリクガメ
ロシアリクガメは、超小型なのに比較的丈夫で飼いやすい人気のペットリクガメです。
- 別名1:ヨツユビリクガメ
- 別名2:ホルスフィールドリクガメ
- 最大甲長:12〜20cm
- 適正温度:23〜30度
- 適正湿度:40〜50%
- 市場価格:約1.5万〜3万円
最大甲長が約20cmとリクガメの中でもかなり小型なので、飼育数が増えてもケージが大きすぎなくても大丈夫です。価格が安価なのも増やしやすいポイント。
ただしロシアリクガメは、乾燥した環境を好むリクガメです。ときには除湿が必要になるなど、湿度管理が難しいところは理解しておきましょう。
ヘルマンリクガメとの多頭飼いに向かない種類
参考までに、多頭飼いに向かないリクガメの種類もご紹介します。(あくまで初心者には向かないだけで、手練れの飼育者はこの限りでありません)
- ケヅメリクガメ
- ヒョウモンリクガメ
- アカアシガメ
- フチゾリリクガメ
- エロンガータリクガメ
- インドホシガメ
- パンケーキリクガメ
「絶対に多頭飼いができない」というわけではありませんが、初心者には難易度が高いためおすすめしません。かなり大きくなったり、他の亀を食べようとしたりする種類がいます。
これらの種類を選ぶ場合は、多くの飼育経験と知識を積むか、専門家の指導のもとで育てられる環境を作るかして、十分に準備してください。
ヘルマンリクガメの多頭飼いケージレイアウト
ヘルマンリクガメを多頭飼いするにあたり、どのようなケージレイアウトを組むべきか、重要なポイントを3つご紹介します。
- ポイント①:広めのケージを選ぶ
- ポイント②:大きい飼育用品を選ぶ
- ポイント③:適正な温湿度に設定する
ポイント①:広めのケージを選ぶ
多頭飼いをする際は、一匹一匹のリクガメが十分に動き回れる広いケージが必要です。狭いケージではリクガメたちがストレスを感じやすく、健康を害することもあります。
広い空間を与えることで、リクガメ同士のトラブルを減らし、各個体が快適に過ごせる環境を作ることができます。多頭飼いが上手くいくかどうかは、ここから始まっているのです。
ケージの広さはリクガメの活動量に直結しますので、可能な限り大きなケージを選びましょう。リクガメの成長を考慮して、長期的に使用できるサイズに決めるのがおすすめです。
たとえば、単体飼育のとき60cmケージで十分なら、多頭飼いのときは大きめの90cmケージにサイズアップしましょう。飼育数により、柔軟にサイズを上げていってください。
ポイント②:大きい飼育用品を選ぶ
多頭飼いでは、リクガメが快適に生活するために、大きい飼育用品が必要です。特に水入れやエサ皿は、複数のリクガメが同時に使えるサイズを選びましょう。
これにより、食事の際の争いを避けることができます。また、シェルターや隠れ家も、すべてのリクガメが利用できる十分な大きさが求められます。
大きめの飼育用品を使用することで、リクガメたちがストレスなく過ごせるようになります。飼育数や成長具合により必要なサイズは変わるので、柔軟に大きくしましょう。
大きい飼育用品が必要になるということは、つまるところ、ケージも大きくしなければいけないこと。ポイント①を達成していないと、ポイント②で詰まってしまうわけです。
ポイント③:適正な温湿度に設定する
ケージ内のリクガメ全種類が快適に過ごせるよう、適正な湿度の設定が重要です。乾燥タイプと湿潤タイプのリクガメは異なる環境を必要とするため、これらを同じケージで飼うのは避けましょう。
特に、生まれたばかりのベビーリクガメは環境変化に非常に敏感です。そのため、湿度と温度の管理には特に注意が必要です。
リクガメの種類ごとに推奨される温湿度を確認し、それに合わせて環境を整えることで、健康を維持しやすくなります。
どのリクガメにどれくらいの温湿度が適正なのかは、記事前半の「多頭飼いに向いているリクガメの種類」をご覧ください。
ヘルマンリクガメの多頭飼いを始める前の注意点
ヘルマンリクガメの多頭飼いを始める前の注意点についてご紹介します。
これから多頭飼いをチャレンジする方は、これらの注意点を事前に考慮しましょう。ときには一度諦めて、単体飼育から始めることも悪くはありません。
- 単体飼育よりも多めにお金がかかる
- リクガメ飼育初心者には難易度が高い
- 寿命が長く、どの個体も何十年と生きる
単体飼育よりも多めにお金がかかる
リクガメを多頭飼いする場合、単体飼育よりもコストが増えます。まず、ケージはより大きなものが必要になるため、初期投資が高くなります。
加えて、食事や床材、環境管理機器も多くのリクガメを支えるために必要です。このため、定期的な経費も増加します。また、健康管理や病気の治療にかかる費用も、リクガメの数に比例して上がることが一般的です。
多頭飼いは見た目には楽しくもありますが、その準備と維持には十分な予算計画が必要となります。始める前に、この点をしっかりと考慮しましょう。
リクガメ飼育初心者には難易度が高い
リクガメの多頭飼いは、一頭だけを飼う場合に比べて難易度が高くなります。まず、異なるリクガメ間の相性を理解し、それぞれが快適に過ごせる環境を作る必要があるからです。
加えて、病気の予防や治療、適切な餌や水の管理も、個体ごとのニーズに合わせなければなりません。これには、リクガメの行動や健康状態に細心の注意を払うことが求められます。
多頭飼いでは、一つの問題が他の個体に影響を及ぼすこともあるため、常に警戒心を持って管理する必要があります。
まだ飼育知識も経験も浅い初心者のうちは、一匹から飼育を始めることをおすすめします。もちろん、その後に慣れてきたら多頭飼いに移行しても構いません。
寿命が長く、どの個体も何十年と生きる
リクガメは非常に長寿な動物です。品種にもよりますが、適切な飼育を続ければ50年以上生きます。リクガメを飼うということは人生における大半を飼育に捧げるわけです。
特に多頭飼いの場合、その責任と時間はさらに大きくなります。ケージの維持管理から健康ケアまで、長期にわたり大変な作業を続けていかなければなりません。
リクガメの長い寿命を考慮すると、安易な多頭飼育や種類数の増加は、正直言っておすすめできません。長期的な関わりを前提に、良く考えてから飼育を始めてください。
ヘルマンリクガメの多頭飼いを始めた後の注意点
ヘルマンリクガメの多頭飼いを始めた後の注意点についてもご紹介します。
飼育を始めたらどのような問題が起きるのか、どんなところに苦労するのか。事前に知っておくことで入念に準備ができます。
多頭飼育に興味がある方は、サラッとでいいので目を通しておいてください。
- サイズ差が出ないように注意する
- 全個体にエサをバランス良く与える
- 感染病やダニが広がる前に隔離する
サイズ差が出ないように注意する
リクガメを多頭飼いする際には、個体間のサイズ差に注意が必要です。大きなサイズ差があると、小さいリクガメが圧迫されたり、食事を十分に取れなかったりするリスクがあります。このような状況を防ぐためには、顕著なサイズ差が出た場合には、リクガメを異なるケージに分けて飼育することが望ましいです。それにより、すべてのリクガメが安全かつ健康的に成長できる環境を提供することができます。サイズ差によるトラブルを避けるためにも、定期的な観察と適切な対応が重要です。
全個体にエサをバランス良く与える
リクガメを多頭飼いする場合、すべての個体に均等に食事が行き渡るよう注意しましょう。一部のリクガメが食べ過ぎたり、逆に食べる量が少なすぎたりすると、健康問題が発生する可能性があります。
食事の時間には、すべてのリクガメがエサにアクセスできるよう、ケージ内の配置を工夫すると良いでしょう。
また、食事の量や栄養のバランスも各個体の健康状態やサイズに合わせて調整することが大切です。全個体が健康を保つためにも、食事管理には特に気を配る必要があります。
感染病やダニが広がる前に隔離する
リクガメを多頭飼いすると、感染病やダニの拡散リスクが増えます。健康なリクガメたちを守るためには、病気の兆候を示すリクガメをすぐに隔離することが重要です。
これにより、他のリクガメに病気が広がるのを防ぐことができます。隔離は、病気の治療と回復のための重要なステップです。
また、ダニの発見があれば、速やかに駆除を行い、清潔な環境を維持することが必要です。全個体の健康を守るためにも、日々の観察と迅速な対応が求められます。
ヘルマンリクガメの多頭飼いに向いている飼育用品
ヘルマンリクガメの多頭飼い特化の飼育用品をご紹介します。
ご紹介する商品は、どれも市場の製品よりも大きく、リクガメ専用に設計されたものです。
これから多頭飼いをするならぴったりなので、ぜひあなた好みの製品を選んでみてください。
- カラーリクガメシェルター
- ビッグリクガメシェルター
- カラーディッシュプレート
カラーリクガメシェルター
国内メーカー『両爬工房』では、彩り豊かなカラーから選べる「カラーリクガメシェルター」を開発・販売しています。
こちらの商品は、リクガメ専用として作られました。たとえば水を入れてケージ内を加湿する特別な機能を持っていたり、垂直な壁面で登りづらくして事故を防いだりできるのです。
そして何より他のシェルターと違うのは、鮮やかな天井面。好みのカラーのものを使えば、毎日の飼育の充実度も高まり、楽しくなること間違いなし。
「好きなカラーのシェルターを使いたい」「もっと毎日の飼育を楽しみたい」と思った方は、こちらのカラーリクガメシェルターをぜひお買い求めください。
ビッグリクガメシェルター
国内メーカー『両爬工房』では、超巨大なリクガメや多頭飼いでも難なく使える「ビッグリクガメシェルター」を開発・販売しています。
こちらの商品は、リクガメ専用として作られました。たとえば水を入れてケージ内を加湿する特別な機能を持っていたり、垂直な壁面で登りづらくして事故を防いだりできるのです。
これまで諦めていた大きなリクガメの飼い主さんも、こちらの’製品なら使えるはず。大きくなった後でも、たまには隠れて休ませてあげたら喜んでくれるでしょう。
「大きくなったペットに隠れ家をあげたい」「成長に備えて、あらかじめ大きいものが欲しい」と思った方は、こちらのビッグリクガメシェルターをぜひお買い求めください。
カラーディッシュプレート
国内メーカー『両爬工房』では、彩り豊かなカラーから選べる「カラーディッシュプレート」を開発・販売しています。
こちらの商品が「一般的な餌皿と違うところ」は、2点あります。
1点目は、他の餌皿よりも大きく広いところです。広々とした面積にたくさんのエサを入れられるので、大容量のエサを入れたいとき、同時に複数の生体にエサを与えたいときに大活躍です。
2点目は、彩り豊かなカラーです。市場の爬虫類用品のほとんどが地味な色味の中、こちらの商品は豊富なカラーがあります。この商品を使えば、レイアウトをあなたらしい自分好みの世界観に作り込めます。
「大きくて広い餌皿が欲しい」「自分好みのカラーの餌皿を使いたい」と思った方は、こちらのカラーディッシュプレートをぜひお買い求めください。
この記事のポイント
今回は「ヘルマンリクガメの多頭飼い」について、プロの目線からご紹介しました。最後に、忘れないようにこの記事の大切なポイントを振り返りましょう。
- ヘルマンリクガメは、比較的多頭飼いに向いた種類
- 理由は甲長が小さく、価格が安く、飼育しやすいから
- 単体飼育よりも大きいケージと大きい飼育用品を使う
- 飼育を始めた後は、餌やり・病気・ダニに要注意する
- リクガメの大きい飼育用品なら、両爬工房がおすすめ
ヘルマンリクガメの大きい飼育用品をお探しの方は、下記の記事がおすすめです。両爬工房の製品について、メリットやデメリット、お客様のレビューを紹介しています。
≫後ほど記載
≫後ほど記載
≫後ほど記載
- 著者:小家山仁, 「カメの気持ちと飼い方がわかる本」, 主婦の友社, 平成29年6月30日
- 著者:吉田誠, 「新訂版 リクガメの飼い方」, エムピージェー, 2020年3月15日
- 著者:だっくす小峰, 監修:田向健一, 「いちばんよくわかる! カメの飼い方・暮らし方」, 成美堂, 2022年8月20日
- 著者:中井穂瑞領, 写真:川添宣広, 「DISCOVERY カメ大図鑑 潜頸亜目・曲頸亜目」, 誠文堂新光社, 2021年10月16日